※このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。


仕事をクビになったルシルが、新たな街で出会った雇用主・フィリス。寡黙な魔法使いが少しずつルシルに心を開いていき……。
「小説家になろう」の人気作品のコミカライズです。
ブックライブ、ピッコマ、LINEマンガ、ebook japan、コミックシーモアなどで読めます。
・原作:yokuu
・作画:梨川リサ
・ジャンル:ファンタジー
・出版社:講談社
ルシル
主人に色目を使ったと奥方に誤解され解雇されてしまい、新たな仕事を求めて見知らぬ町にやってきた。そこでフィリスの屋敷の家政婦として住み込みで働くことになる
フィリス
寡黙な魔法使い。雇ったメイドがことごとくやめてしまうが、ルシルの働きぶりはとても評価している
コルテス
コートデュー商工会の会長。ルシルに仕事を斡旋してくれた
レイヴン
侯爵家の執事。
テオ
宿屋の主人
リリア
バーの主人、ルシルにストーカーの撃退法を教えてくれた
ニゼア侯爵
ルシルの元雇い主、女に目がない最低男
主人に色目を使っていると奥方に誤解され、解雇されてしまったルシル。理不尽なできごとでしたが、ここにとどまる理由もなく、新しい街へと旅立ち、コートデューという街に落ち着きます。
新境地で仕事を探すも、最初は難航します。しかし商工会長のコルテスが、森の奥に住む魔法使い・フィリスの屋敷での仕事を紹介してくれました。
今までのメイドたちは、フィリスの気難しさについていけなくて、すぐに辞めてしまったのに、ルシルはむしろここが天国だと思います。
余計なことをするなというフィリスの言いつけを守り、真摯に仕事に取り組むルシル。フィリスとの関係も良好で、街のみんなともなみ、快適に暮らしていたのですが……。
ルシルが先生に重宝されたのは、家政婦としてのスキルの高さだけじゃなくて、線引きが上手だったからだと思うんです。
今まで辞めた子達は、先生が気難しいというよりも、「私こんなにがんばってるのに!」という気持ちがあったんじゃないでしょうか。
先生は寡黙ですから、基本的に「ありがとう」とか「ごくろうさま」とかいいません。それでやる気がなくなったというのが実情ではないかと。

でもルシルは違いました。
自分の常識を押し付けないようにしないとと思い、先生に心地良く過ごしてもらうこと、それだけを一生懸命考えていた。
だから、先生もルシルのことを認めたんじゃないかな。
先生、言葉ではほめなくても、特製のドリンクを作ってあげたり。行動でちゃんと、感謝を表しています。
ルシルが庭から戻ってきたとき、昼寝をしている先生を見て、「死んじゃったの!?」と誤解し大慌てしたことがあるのですが、次に昼寝するときは、ちゃんとテーブルに「昼寝中」のメモを置いてくれるとかね。
ルシルが包丁で切った小さな傷だって、すぐ気づく。
先生なりに、ルシルを気遣ってくれてるのが、要所要所でわかるんですよ。

気難しいというよりも、口数が少なくて表情が変わらないだけで、たぶんすごく優しい人なんだと思います。
この人の優しさは…命への慈しみ。だから、他の魔法使いのように、魔法が使えない人間を馬鹿にしていない。
街の人たちに、自分たちで街を最高できるようにと石鹸の作り方を教えたのもそういうことだと思います。
魔法でチャチャっと手伝ってあげれば、目先の問題は解決するかも知れないけど、生きていくってそうじゃないでしょう。
面倒に見えることの中にも、生きる楽しみがある。人生の本質をわかっているからこそ、むやみに魔法も使わないし、魔法を使えない人を助ける時しか、魔法を使わないという矜持を持っている。
こんな人のそばにいたら、ルシルが好きになってしまうのも、当然ですね。
ルシルにしつこくしていたあの元雇い主が、ルシルの居場所を突き止めて、コートデューまでやってきます。
奥さんと離婚してルシルを迎えようとするとか、もう、気持ちが悪いったらありゃしない。
こいつが街に来る前に、先生は気づいていたけどね。
コルテスのところにきて、外部の人間が来たこと、ルシルに何かあったと話をするんだけど、ルシルが心配だとは言わない先生が、お茶目ですね。

有能な彼女に辞められたら困ると言っているけど、それだけじゃないと思う!
この時点で、先生もルシルをかなり気に入っていたんじゃないかなと。
そしてついに、ニゼア侯爵がルシルを見つけてしまう!まじで気持ち悪いです。
発言がストーカーそのもの。どうしてそこまで、自分に都合よく勘違いができるのか。気持ち悪すぎる。
ルシルがいうことを聞かないので、暴力を振るおうとする侯爵。すると、激怒した先生が「仲間」を連れてやってきます。(第5話「先生の魔法」参照)

めちゃめちゃかっこいいので、ぜひマンガで見てください。
先生がルシルの名前を初めて呼んだのも、このときです。先生にとってルシルが大事な存在になってきていたんだなと思います。
口では「有能だから」っていってるけど、絶対それだけじゃない。
先生が留守中に訪ねてきた魔法使いに、ルシルは猫にされてしまいます。
先生が帰ってくる前に餓死してしまう…と思ったけど、マカロンという猫に助けられます。
なんとこのマカロン、街で起こったことを先生に教える伝達役だった!鳥とか、他の動物たちもそんなことをしているらしい。
だからルシルが街に来て仕事を探していたことも、二ゼア侯爵が街に来たことも先生は知っていたんですね。
雄猫に追いかけられて、あやうくつがいにされそうになっている危険なところで、先生帰ってきた。
無事に人間に戻してもらえたけど、先生、ほんとにルシルのこと心配してた。このあたりから、先生の中でルシルの存在が、さらに大きくなってきた気がします。
先生自身は、その気持ちの正体に気づいていませんが。
最初はよくわからなかったけれど、少しずつ自分の気持ちに気づいていくルシル。
フィリスという人を知れば知るほど、尊敬する気持ちと共に、恋心も大きくなっていってしまう。
これは仕方ない。先生、やさしいもの。他の人にはなかなかわからない優しさなんだけど、使用人であるルシルを人として対等に接していること自体、すごいことなんですよ。

だから、先生の本質を知れば、年齢とかどうでもよくて、惹かれてしまう。
先生の方は…ルシルが気になっているのに、ルシルがまさか自分のことを好きだとは思っていないから、こんなに歳が離れてるのに…とか思ってる。そんなことないのに。
先生が一緒に世界樹を見に行こうといって、ルシルを連れていきます。
しかしこれが結構クセモノで。感情を揺さぶられてしまうんですよ。だから先生は行く前に、気を強く持てと言っていたんだけど…ルシルは、涙が止まらなくなって、お慕いしていますと気持ちを伝えます。
そして、「永年雇用は可能でしょうか」と聞くのですが、先生は即答しかねると。
数日経って、先生から告げられたのは「解雇」。

あんまりだと思ったけど……これこそが、先生の気持ちでした。
魔法使いは長寿なので、確実にルシルの方が先にこの世をさる。それを耐えろというのか。
そう言いつつも、雇用関係だと君に応えられないから、解雇すると。ちょっと回りくどいけど、好きだとか言わないのが先生らしくていいです。
20話「永年雇用は可能でしょうか」が、最高でした。
先生の赤面も見られます。
なんて素敵な恋だろう。心があたたかくなる、本当に素敵な作品でした。
今回読んだのは話単位だと20話、単行本だと全4巻ある講談社版なのですが、これ、分冊版もありまして、そちらですと全24巻となっています。
21〜24巻がその後の話になっているので、そちらも読んだらまた感想を追加します!
